
「歩きすぎて膝が痛い」あなたへーー整骨院からのメッセージ
千歳市の日常やスポーツでのケガ、交通事故後のムチウチなどを施術する整骨院。
青葉鍼灸整骨院の五十嵐です。
「今日は沢山歩いたから、膝がズーンと重くて痛い」「歩き出すと膝の内側がチクッとする」「長時間歩くと膝がこわばって曲げにくくなる」ーーそんな経験はありませんか?
歩くこと自体は健康維持に大切ですが、過度に歩くと膝には相応の負荷がかかります。その負荷が積み重なって、慢性的な痛みや違和感につながることもあります。今回は、「歩きすぎによる膝痛」に焦点を当て、原因・対処法・整骨院でできる事・セルフケアを解説します。
なぜ”歩きすぎ”で膝が痛くなるのか?メカニズムと原因

歩行は膝に体重の何倍にもなる圧がかかる動作です。特に長時間歩いたり、速度を上げたり、坂道・階段などの負荷がある道を歩いたりすると、膝関節面にかかる接触応力が高くなります。ある研究では、歩行動作は階段昇降・立ち上がりよりも高い膝関節への負荷を生じさせると報告されています。
このような高ストレスが繰り返されると、軟骨や半月板、関節内滑膜(関節を覆う膜)などに摩耗・刺激・微小損傷が起こり、炎症や疼痛を引き起こします。
過負荷が続くと、関節の滑膜(関節を包む膜)が刺激されて炎症を起こしやすくなります。炎症により滑膜からの液体産生が過剰になると、関節腔内に水(関節液)がたまり、腫れや張りを感じることがあるため、動かすたびに違和感・圧迫感・痛みを感じることがあります。
膝関節を支える筋群(大腿四頭筋、ハムストリングス、内側広筋・外側広筋など)が適切に働いていないと、歩行時に膝関節を受け止めきれず、不要なストレスが関節荷重部分に集中することがあります。また、膝軸・下肢アライメント(O脚・X脚傾向など)のずれがあると、歩行のたびに特定部位に過負荷をかけやすくなります。
もともと軟骨のすり減りがあったり、半月板損傷・靭帯損傷の既往があったりすると、耐性が弱くなっており、歩きすぎによって症状が顕在化しやすいです。変形性膝関節症(膝OA)が進行している人も、少しの過負荷で痛みが出やすい状態にあります。変形性膝関節症は年齢とともに有病率が高まることがわかっており、40歳以上では男性で約42.6%、女性で約62.4%と報告されています。
さらに、歩行量が多い人は、ある調査で「総身体活動量が多いほど慢性膝痛リスクも高い」という関連が示されたこともあります。
「歩きすぎ膝痛」が出やすい人・リスク要因

・高齢者・中高年層:加齢により軟骨の弾力性低下・筋力低下が進む
・肥満あるいは体重増加傾向:膝への荷重が増える
・日常的に歩行量が多い人:通勤・ウォーキング習慣がある、立ち仕事が多い
・下肢アライメント異常:O脚・X脚、偏った姿勢・歩行パターンを持つ人
・筋力・柔軟性不足の人:膝を支える筋肉・柔軟な筋膜・靭帯などの弱さ
・以前に膝を痛めたことがある・変形性膝関節症の既往がある人
また、日本の調査(50歳以上対象)では、「これまで膝に痛みを感じたことがある人」は40.4%に上るとの報告があります。
整骨院でできること:歩きすぎによる膝痛へのアプローチ

整骨院では、保存的アプローチを中心に、痛みを和らげ、膝を使える状態に戻すサポートを行います。以下のステップで、段階的に対応していくことが多いです。
・どんなとき・どのくらい歩いた時に痛むか(距離・時間・速度・路面条件など)
・痛みの性状(鋭い・鈍い・重だるい・引っかかる感じなど)
・膝の可動域チェック(屈曲・伸展など)
・筋力チェック:大腿四頭筋・ハムストリングスなど
・柔軟性チェック・筋膜の硬さ・靭帯・関節包の状態
・歩行パターン・下肢アライメント・靴・荷重・体重・生活習慣など
・冷却・アイシング:歩きすぎで腫れ・熱感がある時は炎症を抑える
・電気治療/超音波/低周波など物理療法:軟部組織や関節周囲の血流改善・鎮痛
・安静・負荷調整:歩きすぎを控える、休息を入れる
・テーピング・サポーター:膝関節を安定化させ、動作時の不要な揺れを抑える
痛みが落ち着いたら、関節・筋肉の柔軟性を取り戻すアプローチへ。
・筋膜リリース・指圧:硬くなった筋肉や筋膜をほぐす
・ストレッチング:太もも前側・後ろ側・内側・外側など
・関節モビライゼーション:膝関節包・靭帯周囲のゆるみを引き出し、滑らかな動きを取り戻す
負荷を段階的に上げつつ、膝を支える筋肉を強化していきます。
・大腿四頭筋・ハムストリングス・内側広筋/外側広筋といった筋群のトレーニング
・股関節・臀部・体幹筋の強化も含めて、歩行時・膝支持能力を高める
・バランス訓練:片足立ち、バランスボードなどで安定性向上
歩きすぎで痛みが出る背景には歩き方の癖があることも。歩行指導を通じて改善を図ります。
・歩幅・歩行速度・脚の着地パターンを見直す
・ストライド(歩幅)が大きすぎたり、つま先・膝の向きが外・内旋していたりするクセを修正
・適切な靴やインソール選びのアドバイス
・適切な休息・歩行の負荷調整を日常に組み込む
・定期的に可動域・痛み・動作の変化をチェック
・症状が改善してきたら、徐々に歩行距離・速度を戻す
・悪化しないようにセルフケア指導(ストレッチ・強化運動など)
・必要なら整形外科との連携、画像検査や専門的外科治療の検討
青葉鍼灸整骨院での治療の流れ
①カウンセリング
ヒアリングをさせていただき、今どんなお悩みをお持ちなのかを確認します。
②アセスメント
身体の状況(姿勢、痛みの原因)を確認しながら、現在の状況を把握していきます。
③施術
痛みの原因となる筋肉、関節などに温熱治療器、高周波などを使ってアプローチします。
④エクササイズ
必要に応じてストレッチ、ピラティスなどを行い柔軟性を出していきストレスを改善します。
⑤プランニング
①~④を行った後に今後のプランを一緒に決めていきます。
注意したいポイント・警戒すべきサイン
歩きすぎによる膝痛を改善するには、下記のような状態には特に注意してください。
・激しい痛み・腫れ・熱感が強い
・夜間痛・安静時の痛みが強い
・膝が引っかかる・ロックするような動き
・可動域が著しく制限される、動かない
・症状が改善しない・悪化する
・既往で靭帯断裂・手術歴がある
このような場合は、早めに整形外科受診を併用することが安全です。
最後に
膝を使い過ぎて痛みが出たときは、早めに対応することが改善を早めるポイントです。一時的に我慢して無理を重ねるより、整骨院での評価・ケアを取り入れて、痛みを和らげながら元の歩行力を取り戻すことを目指しましょう。気になる症状や困っている事などありましたら、お気軽にご相談ください。

