
膝の「外側」が痛むあなたへーー整骨院からのアドバイスと対策
千歳市の日常やスポーツでのケガ、交通事故後のムチウチなどを施術する整骨院。
青葉鍼灸整骨院の五十嵐です。
はじめに:膝の外側痛、意外と見逃されやすい不調
階段を降りる時、歩いている時、ジョギング中、あるいは日常動作で「膝の外側」が痛むことはありませんか?膝の痛みは多様な部位で出現しますが、外側部に痛みが出るケースは原因が多岐にわたるため、原因を正しく把握し、適切なケアを行うことが重要です。
「外側が痛い」と感じるものの、整形外科で「異常なし」といわれてしまった、あるいは湿布や痛み止めでごまかしてきた,,,という方も多いでしょう。しかし、痛みを放置すると、膝の機能低下や悪化につながる可能性があります。
今回の記事では、膝外側痛の原因とメカニズム、セルフチェック・セルフケア法、千歳市の青葉鍼灸整骨院でできるアプローチを段階的にご紹介します。読者の方が「なぜ痛むのか」を理解し、改善への道を歩みやすくなるよう、丁寧に解説します。
膝痛・膝の外側痛をめぐる統計データ

まずは、膝全体、ひいては膝痛・変形性膝関節症(OA)をめぐる統計を確認し、「膝の痛みは多くの人に共通する問題」であることを実感して頂きましょう。
1.成人における膝痛の有病率:25%程度
膝痛を訴える成人は、だいたい25%前後と報じられています。(AAFP)すなわち、4人に1人程度の割合で膝に何らかの不調を抱えている可能性があるということです。
2.変形性膝関節症(膝OA)の世界的有病率
全世界で、年齢15歳以上の人を対象にしたメタ解析では、膝OAの有病率は約16.0%と報告されています。(PMC)特に、40歳以上になるとこの割合はさらに高くなります。
3.膝OAの負担・影響:全世界で5.95億人に上り、全人口の約7.6%にあたるとの推計もあります。膝は最も影響を受ける関節の1つです。(ランセット)
これらの数字から、膝の痛みは決して「自分だけの問題」ではなく、多くの人が直面している共通課題であることがわかります。そして、部位を特定した(例えば外側)痛みであっても、無視せずに適切に対処することが重要です。
膝の外側が痛む原因・メカニズム

膝の「外側」に痛みが出る時、考えられる代表的な原因と、それぞれがどのように痛みを発生させるかを見ていきましょう。
1.腸脛靭帯(ITB)症候群
スポーツや長距離走などで頻出する原因です。腸脛靭帯は大腿筋膜張筋~膝外側部を斜めに走る靭帯で、膝を屈伸・屈曲伸展動作をする際に大腿骨外側顆部に滑走・摩擦を起こすことがあります。特に膝屈曲・伸展時に外側部に「擦れる」ような負荷がかかると、腸脛靭帯周囲の滑走不良・炎症・微細損傷が起こり、痛みとして感じられます。
2.外側半月板損傷
半月板は膝関節内のクッション役割を果たしていますが、捻り負荷や急激な動作、長期の摩耗などで外側半月板に損傷・変性が起こると、動作時に「外側に痛み」や「引っかかり感」が出ることがあります。
3.関節軟骨摩耗・変形性関節症(外側型・混合型)
変形性膝関節症といえば内側型が目立つことが多いですが、O脚変形や他のアライメント異常があれば外側関節面にも荷重ストレスがかかり、軟骨すり減りや変性が進み、膝外側にも痛みが出るケースがあります。
4.関節包・滑膜の炎症
膝外側の関節包・滑膜部にストレスがかかれば、滑膜炎・関節包の張力異常・浮腫性変化が起こることがあり、これが痛みを引き起こすことがあります。
5.腓腹筋・腓骨筋群の過緊張・筋膜連鎖
ふくらはぎの腓腹筋、腓骨筋、さらには膝外側支持に寄与する筋肉・筋膜の過緊張・癒着が、膝関節外側への牽引・ストレスとなることがあります。
6.アライメント異常・荷重偏位
O脚変形、膝外反傾向、股関節/足関節からの連鎖不良があると、荷重線が膝の外側によったり、膝外側の構造に負荷をかけやすくなることがあります。
これらの原因は単独で発生することもありますが、実際には複数要因が混在して痛みを引き起こしていることが多いです。
セルフチェックと初期対応方法
膝外側痛を感じている方向けに、ご自身でできるチェック・対応方法を以下にご紹介します。ただし、痛みが強い、腫れ・熱感・関節が動かしにくい・明らかな怪我が思い当たる場合は、医療機関の受診も検討すべきです。
・圧痛確認
膝を軽く屈曲させた状態で、膝の外側縁、腸脛靭帯の付着部、大腿骨外顆付近、外側関節列隙を指で押してみて痛みが出るか確認。
・屈伸動作での痛み
階段を降りる・しゃがみ・立ち上がり・歩行などで外側に痛みが出るか観察する。
・腸脛靭帯ストレッチ時の張り/違和感
伸ばした太ももの外側・臀部に張り感を感じるかどうかをチェック。
・O脚傾向・アライメント確認
立位で両足の間隔、膝・足首の位置関係を鏡で観察。脚のズレ・外反傾向がないかをチェック。
・筋バランス確認
ふくらはぎ・腓骨筋や外側支持筋(外側広筋・腸脛靭帯支える筋)に力を入れた時、痛み・違和感が出るかどうか。
・負荷軽減/休息
痛み出している時は無理な運動や過度な膝屈伸を控え、膝にかかるストレスを軽くする。
・冷却(アイシング)
炎症期には15~20分程度、膝外側部を冷やすことで炎症・腫れを抑える。
・ストレッチ
腸脛靭帯、外側大腿四頭筋、腓骨筋群の軽いストレッチを痛みの出ない範囲で行う。
・サポーター・テーピング
膝外側のサポート感を出すようなサポーター、または適切なテーピングを併用し、膝関節の不安定な動きを抑える。
・歩行・姿勢意識
痛みの出ない範囲で、支持筋の軽い筋トレ(外側広筋、腓骨筋、股関節外転筋など)を行う。ただし痛みが悪化するようなら中止。
これらはあくまで応急的・基礎的な対応です。根本改善には正確な評価と段階的な施術が必要です。
整骨院でのアプローチ

千歳市の青葉鍼灸整骨院では、以下のようなステップで膝外側痛に対してアプローチを進めます。
1.評価・アセスメント
・痛みの正確な部位(圧痛点・可動域の制限部位)を確認。
・膝アライメント・軸ズレの評価
・股関節・足関節・骨盤の連鎖評価
・筋力バランスチェック:腸脛靭帯支える筋、外側支持筋、ふくらはぎ筋群など
・歩行・動作分析(しゃがみ・ステップ動作など)
2.軟部組織調整・筋膜リリース
腸脛靭帯・大腿外側筋・腓骨筋・外側支持筋群・ふくらはぎ筋など、過緊張・癒着の疑われる部位に対して、筋膜リリースや手技で弛緩処置を行います。
3.アライメント調整・荷重再配分
O脚・外反傾向がある場合は、脚のズレ、股関節・足関節からの連鎖調整、必要に応じてテーピングなどの併用を行います。
4.筋力強化・運動指導
特に以下のような筋力・コントロール系トレーニングを取り入れます。
・外側支持筋強化:外側広筋、腸脛靭帯支持に関与する筋の収縮訓練
・股関節外転筋訓練:大腿外側を安定させ、膝荷重線を改善する
・バランストレーニング:片足立ち、不安定面上での制御トレーニング
・歩行・ステップ動作指導:膝外側にストレスをかけない正しい動作フォームを習得
5.物理療法・補助療法
痛み・炎症期には、超音波、温熱療法、微弱電流治療、マイクロ波などを併用し、疼痛軽減・血流改善を図ります。
6.段階的リハビリと復帰支援
痛みが落ち着いたら段階的に運動強度を上げていき、日常復帰/スポーツ復帰を目指します。
7.メンテナンス・再発予防
痛みが改善しても、再発させないために定期的なチェック・ストレッチ、筋力維持・調整を継続していきます。
8.必要時の他科連携
外側痛が改善しない、腫れ・引っかかり感・ロッキング・動かせない範囲があるなどの症状を呈する場合は、整形外科でのMRI/レントゲン検査や専門医との連携を検討します。
最後に
膝の外側の痛みでお困りの方は、早めにご相談ください。「痛みを無くすだけでなく、安心して動ける膝」を一緒につくっていきましょう。

