
膝を曲げると”膝裏”が痛いあなたへーー整骨院からのアドバイスと対策
千歳市の日常やスポーツでのケガ、交通事故後のムチウチなどを施術する整骨院。
青葉鍼灸整骨院の五十嵐です。
はじめに
「しゃがむと膝の裏側がピリッと痛む」「階段を降りる時、膝裏に重だるさを感じる」「膝を曲げると奥の方に違和感が出る」ーーこのような症状に悩んでいる方は意外と多くおられます。膝の痛みというと膝の前や内側・外側が注目されがちですが、後側(裏側/膝裏)の痛みは、原因が複雑だったり見過ごされたりしやすい部位でもあります。
膝裏の痛みは、筋肉・腱・靭帯・関節包・滑膜・半月板後角・神経・血管・嚢胞(ベイカー嚢胞など)など、多様な構造が関わる可能性があります。今回の記事では、まず膝痛に関する統計データを示し、その上で「膝裏痛」が起こる原因・見分け方・セルフケア・整骨院でできる対処法を体系的に解説します。
膝痛・変形性膝関節症に関する統計データ

膝痛そのもの、また膝の変形性関節症(OA)は世界的にも高頻度な健康問題です。以下のデータを見て、「膝痛は無視できないもの」であることを理解しておきましょう。
1.変形性膝関節症(膝OA)の世界的有病率
年齢15歳以上を対象としたメタ解析では、膝OAの有病率は約16.0%と報告されています。(サイエンスダイレクト)
2.日本における慢性膝痛の頻度(40~79歳)
日本の中高年を対象とした疫学研究では、慢性膝痛を訴える人の割合は10.7%と報告されています。(PMC)
3.変形性膝関節症(X線像との関連)
日本の調査によれば、X線で関節変形所見(KL分類)を認め、なおかつ膝痛を伴う人の割合は26.1%にも達するとされています。(Oarsijournal)
これらの統計から、膝痛・変形性膝関節症は決して稀なものではなく、年齢とともにリスクが高まることがわかります。ただし、これらはいずれも膝痛全体の統計であり、「膝裏痛」に限定したデータは比較的少ないため、個別の原因を探ることが重要です。
膝を曲げた時裏側に痛みが出る主な原因・構造

膝を曲げると裏側に痛みが出る場合、次のような構造・原因を疑うことが参考になります。ただし、診断は専門的評価が必要です。
膝裏には大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋など、ハムストリングス群の腱・筋が付着しています。これらが硬くなっていたり、繰り返しストレスを受けたり、付着部に炎症が起きると、膝を曲げた時に”張り”や”痛み”として感じられることがあります。
関節包や滑膜、後方の靭帯組織(後縁部)などが過緊張・癒着・炎症を起こすと、膝を屈曲した際に裏側の組織が引き伸ばされ痛みが出やすくなります。
膝の後ろ(膝窩部)に液体が溜まる嚢胞(ベイカー嚢胞)ができることがあります。小さければ目立たないこともありますが、曲げると膝裏が膨らんだり張った感じや痛みを生じやすくなります。
膝関節の内・外側半月板後角(後方端)が損傷・変性を起こすと、膝を曲げた時に関節内構造が圧迫・牽引されて裏側痛や違和感が出ることがあります。
後十字靭帯が伸びたり損傷を受けたりすると、特に膝屈曲位で後方支持力が弱まり、膝裏・後方部に痛みや違和感を覚えることがあります。
ふくらはぎの腓腹筋や膝裏近傍筋膜組織の硬さ・癒着が、膝を曲げる際に裏側のテンションをかけて痛みを誘発することもあります。
まれに、膝裏の神経(膝窩神経など)、滑液包炎、血管の問題(静脈うっ滞など)が痛みの原因になることも考えられます。
上記のどの構造が主因かは、問診・動作観察・整形的検査・徒手検査・可動域評価などを組み合わせて見極める必要があります。
膝裏痛を見分けるためのセルフチェック・注意点

1.痛みの出る角度・動作を確認
膝を浅く曲げた時/深く曲げた時/伸ばした時、どの曲げ角度で痛みが出やすいかを比べてみる
2.圧痛部位の確認
膝を軽く曲げた状態で、膝裏(膝窩部)、ハムストリングス付着部、関節包後縁、後十字靭帯部に指で押してみて痛みが出るかどうか。
3.可動域チェック
膝を曲げた/伸ばした範囲で異常な制限や引っかかり・つっぱる感じがないかをみる。
4.膝の後方膨隆の有無
膝裏が少しふくれている、膨らみ感がある(ベイカー嚢胞の可能性)かどうかをみる。
5.ハムストリングスの硬さをチェック
仰向けで片足を伸ばし、膝を曲げた状態でその脚を伸ばす時の裏腿の張りを確認する。
6.動的負荷での再現性確認
しゃがむ・階段降り・運動開始/終盤などで痛みが増すかどうかを確認する。
注意すべきサイン(受診目安)
・痛みが急激で強い
・膝に腫れ・熱感がある
・膝が伸びなくなる/曲げられない
・膝がぐらつく・不安定感が強い
・痛みが1週間以上改善しない
これらのサインがあれば、整形外科でMRIやレントゲン撮影を含む精査を受けることが賢明です。
膝裏痛へのセルフケア・初期対応法

痛みを悪化させないため、まずできる対応を取り入れておきましょう。
・安静・過負荷回避
痛みが強い時は、深いしゃがみ・激しい運動・負荷の高い動作を控えて膝にかかるストレスを減らす。
・アイシング
炎症・腫れを伴う場合は、膝裏を氷パックや冷湿布で15~20分程度冷やす
・軽めのストレッチ
裏腿(ハムストリングス)・ふくらはぎ・腓腹筋など、痛みのない範囲でゆるやかに伸ばす。ただし、痛みを誘発するようであれば中止。
・膝サポーター・軽めのテーピング
膝裏の動きを少し支えるようなサポーターや、軽度の補助テーピングを併用することも有効です。
・動作/姿勢の見直し
膝を深く曲げる動作の減少、正しいしゃがみ・歩き方(膝裏への負荷を抑える意識)を心掛ける。
・血行促進・温熱刺激
痛みの落ち着いている時期には、温めて筋肉の柔軟性を促す工夫も取り入れましょう。
これらのセルフケアは応急的な対応として有効ですが、根本改善には整骨院・施術機関での評価と治療が有用です。
整骨院での対策・施術プラン

千歳市青葉鍼灸整骨院では、膝裏痛に対して以下のような段階的アプローチが考えられます。
1.精密な評価・アセスメント
・痛み部位(圧痛、可動域、張力、柔軟性)
・膝関節アライメント(屈曲・伸展軸ずれ)
・股関節・足関節・骨盤との連鎖関係
・筋力バランス評価(ハムストリングス・大腿四頭筋・腓腹筋・殿筋群など)
・動作分析(しゃがみ・立ち上がり・階段・歩行)
・必要に応じて徒手検査(半月板テスト・後十字靭帯テスト・可動性テスト等)
2.軟部組織アプローチ・筋膜リリース
ハムストリングス、腓腹筋、筋膜癒着、腱付着部などの過緊張・癒着を手技で緩め、裏側へのストレスを減らします。
3.関節可動域改善
関節包・関節滑走性の改善を図る手技などを行い、屈曲・伸展時に痛みが出にくい滑らかな動きを回復します。
4.補助的サポート・テーピング
必要に応じてテーピングや軽度矯正を併用し、膝裏部への過剰な引っ張り・ストレスを軽減します。
5.筋力強化・制御訓練
痛みが緩和した段階で、以下のような運動を導入します。
・殿筋・股関節制御運動(下肢アライメントの安定化)
・バランストレーニング(片足立ち、安定性向上訓練)
・動作指導(しゃがみ・立ち上がり・階段動作での膝裏負荷を抑えるコツ)
6.段階的復帰・負荷増強
痛みが安定してきた段階で、日常動作や運動への復帰を支援し、徐々に負荷をあげていきます。
7.メンテナンス・フォローアップ
完治後も、定期チェック・ストレッチ・筋力調整を継続して再発を防ぎます。
8.他科連携(必要時)
改善が見られない、膝裏に腫れ・ロッキング・可動域制限が強いなどの場合は、整形外科との連携でMRI・超音波・診断的検査を行うこともあります。
まとめ:メッセージ
膝を曲げると裏側に痛みが出る症状は、「見えにくい」「原因が多数ある」「痛みが長引きやすい」という性質を持ちます。しかし、放置すると動きにくさや他部位への代償動作を誘発することもあります。痛みが軽いうちから適切なケアを始めることが重要です。
千歳市の青葉鍼灸整骨院では、問診・評価を丁寧に行い、膝裏の構造へのアプローチ、可動性改善、筋力調整、動作指導を組み合わせて症状改善を目指します。セルフチェック・初期ケアを併用していくことで、痛みの軽減と再発予防につなげられます。
もし「膝裏が曲げると痛む」「何をしても違和感が消えない」などのお悩みがあれば、お気軽に当院へご相談ください。一緒に、膝裏の痛みを和らげ、快適な動きを取り戻すサポートをさせていただきます。

